グラスコートが得意な選手の条件を体型、用具から考察[ウィンブルドン][芝]

データ考察

 テニスの大会でもっとも有名な、最も歴史のある大会の一つであるウィンブルドンのようにグラスコートで行われている大会について

テニ男
テニ男

どんな選手がグラスコートで強いんだろう?

と疑問の感じている方がいらっしゃるのではないでしょうか。

 そこで今回はグラスコートが得意な選手たちはどんなラケットを使っているのか、どんな体型の人が多いのかを見ていきたいと思います。

 実際に芝のコートでプレーするという方は少ないと思いますが、芝のコートのように速く、バウンドが低いコートでプレーする機会が多い方にはおすすめの内容です!

グラスコートが得意な選手の体型

 それではグラスコートが得意な選手の体型(身長、体重、BMI)を紹介していきます。ここではATP STATSのWin/Lossのランキング上位20人を紹介します。(2021年11月、過去52週、グラス)

男子のグラスコートが得意な選手

Grass Court
Win/Lossランキング
名前身長体重BMI
1ノバク・ジョコビッチセルビア1887721.79
2マッテオ・ベレッティーニイタリア1969524.73
3ケビン・アンダーソン南アフリカ2039422.81
4マリン・チリッチクロアチア1988922.70
5ユーゴ・アンベールフランス1887320.65
6ジェンソン・ブルックスビーアメリカ1938322.28
7ダニール・メドベージェフロシア1988321.17
8アンドレイ・ルブレフロシア1887521.22
9フェリックス・オジェ-アリアシムカナダ1938823.62
10キャメロン・ノリーイギリス1888223.20
11クリスチャン・ガリンチリ1858524.84
12マックス・パーセルオーストラリア1858023.37
13アレックス・デミノーオーストラリア1836920.60
14デニス・シャポバロフカナダ1857521.91
15ロジャー・フェデラースイス1858524.84
16セバスチャン・コルダアメリカ1967720.04
17クォン・スンウ韓国1807222.22
18ロレンツォ・ソネゴイタリア1917620.83
19ダニエル・エバンスイギリス1757524.49
20アレクサンダー・ズベレフドイツ1989022.96

身長

 身長別に何人の人がいるのかをグラフにしてみました。

グラスコートが得意な選手の身長

この表を見てみると、やはり身長が高い選手が多い印象があります。しかし、170㎝代の選手が2人いるなど、比較的低い身長選手にとっても相性がいいコートということができると思います。

 ここでトップ100(2021年10月)選手の身長の分布と比較してみましょう。

トップ100プレイヤーの身長

 これをみると180cm代の選手が最も多いことは変わらないですが、グラスコートが得意な選手のほうが明らかに高身長の選手が多いことがわかります。

体重

グラスコートが得意な選手の体重

 70kg代と80kg代の選手が最も多いようです。

 一方で60kg代の選手や90kg代の選手もおり、幅広い体重の選手がいます。

 トップ100(2021年10月)の体重と比較してみましょう。

トップ100プレイヤーの体重

 70kg代と80kg代の選手が多いのはグラスコートとトップ100プレイヤーともに変わらないですが、グラスコートが得意な選手には90kg代の選手が多いことがわかります。

 やはり身長が高い選手が多いためか、体重も多い選手が多いようです。

BMI

 BMIはボディマス指数と呼ばれ、身長と体重から求められる体格指数のことです。計算式は次のようにあらわされます。

BMI=体重(kg)÷身長(m)2

日本ではBMIが22を標準として、25以上で肥満という区分となっています。 

グラスコートが得意な選手のBMI

 このようにみると、強力な打球が打ちやすくなるBMIが高い選手もいますが、基準BMIを下回る軽い選手もいることがわかります。

 トップ100プレイヤーと比較してみましょう。

トップ100プレイヤーのBMI

 トップ100プレイヤーのほうがグラスコートが得意な選手たちよりもBMIが高めの選手が多いことがわかりますね。

 グラスコートはサーブの影響が非常に大きいため、BMIが高い選手のほうがサーブが強力でグラスコートでも強い傾向があると思っていましたが、逆の傾向になりました。

 BMIが低い選手のほうが、素早い動きができ、足が取られにくいためグラスコートで強い傾向があると考えられると思います。

サーブが得意な選手のラケットとストリング

 ここからはサーブが得意な選手のラケットとストリングを紹介していきます。

 ラケットの形状はフレームの断面が、四角の場合は「ボックス」、楕円の場合は「ラウンド」、中間もしくはどちらにも属さない場合は「ハイブリッド」としています。

Grass Court Win/Lossランキング名前ラケット(フレーム形状)ストリング(素材の種類)
1ノバク・ジョコビッチセルビアHead Speed Pro(ハイブリッド)Babolat Touch VS × Luxilon ALU Power(ナチュラル×ポリエステル)
2マッテオ・ベレッティーニイタリアHead Extreme(ラウンド)Signum Pro Firestorm(ポリエステル)
3ケビン・アンダーソン南アフリカDunlop CX 200 Tour (ボックス)Babolat Touch VS × Luxilon ALU Power(ナチュラル×ポリエステル)
4マリン・チリッチクロアチアHead Prestige Mid(ボックス)Babolat Touch VS × Luxilon ALU Power(ナチュラル×ポリエステル)
5ユーゴ・アンベールフランスWilson Blade 98 16×19(ハイブリッド)Luxilon Original Rough(ポリエステル)
6ジェンソン・ブルックスビーアメリカWilson Blade 98 16×20(ハイブリッド)Solinco Outlast(ポリエステル)
7ダニール・メドベージェフロシアTecnifibre TFight 305 RS(ハイブリッド)Tecnifibre Razer Code(ポリエステル)
8アンドレイ・ルブレフロシアHead Gravity Pro(ボックス)Luxilon Adrenaline(ポリエステル)
9フェリックス・オジェ-アリアシムカナダBabolat Pure Aero Tour(ラウンド)Babolat RPM Rough(ポリエステル)
10キャメロン・ノリーイギリスBabolat Pure Strike(ハイブリッド)Luxilon Alu Power(ポリエステル)
11クリスチャン・ガリンチリHead Radical MP(ラウンド)Luxilon Original(ポリエステル)
12マックス・パーセルオーストラリアDunlop FX 500 Tour(ラウンド)Dunlop Exposive Tour(ポリエステル)
13アレックス・デミノーオーストラリアWilson Blade 98 16×19(ハイブリッド)Luxilon Alu Power Rough(ポリエステル)
14デニス・シャポバロフカナダYonex Vcore 95(ラウンド)Yonex Polytour Strike(ポリエステル)
15ロジャー・フェデラースイスWilson Pro Staff RF97(ボックス)Wilson Natural Gut × Luxilon ALU Power Rough(ナチュラル×ポリエステル)
16セバスチャン・コルダアメリカWilson Blade 98 18×20(ハイブリッド)Luxilon Alu Power x Wilson Natural Gut(ポリエステルxナチュラル)
17クォン・スンウ韓国Head Radical(ラウンド)不明
18ロレンツォ・ソネゴイタリアWilson Blade 98 18×20 (ハイブリッド)Wilson Natural Gut × Luxilon ALU Power Rough(ナチュラル×ポリエステル)
19ダニエル・エバンスイギリスWilson Pro Staff 97(ボックス)Luxilon Alu Power Rough x Wilson Natural Gut(ポリエステルxナチュラル)
20アレクサンダー・ズベレフドイツHead Gravity Pro(ボックス)Head Hawk Touch×Babolat Touch VS(ポリエステル×ナチュラル)

ラケット

 まずはラケットの特徴から、見ていきたいと思います。

グラスコートが得意なプレイヤーが使用しているラケットの種類

 この結果を見ると、ハイブリッド形状のラケットを使用している選手が最も多く、ボックス形状をラウンド形状を使っている選手は同数という結果になりました。

 最も対照的なクレーコートで調べた結果と比較してみましょう。

クレーコートが得意なプレイヤーが使用しているラケットの種類

 これを見ると明らかにグラスコートが得意なプレイヤーのほうが、ボックス形状のラケットを使いう傾向があることがわかります。

 クレーコートでの基本的な戦い方は、後ろに下がって自分の力でスピンがかかった重いボールを打つという戦い方をする選手が多いです。

 一方でグラスコートの場合、サーブを中心にボレーを用いて戦う戦術が得意な選手が多くいます。こういったプレイヤーは強力なボールを自分で打つのではなく、相手のボールの勢いを利用してボールを打つことを得意としています。

 そのためパワー系のラケットよりも、コントロール性能が高いボックス形状のラケットを使う選手が多いと考えられます。

ストリング

 ストリングの特徴を見ていきます。

グラスコートが得意なプレイヤーが使用しているストリングの種類

 まず、ナチュラルガットだけを張っているという選手はいませんでした。これは現在のプロテニス選手の傾向からして当然の結果だと思います。

 ポリエステルのみを使用している選手が半分以上いる結果となりました。

クレーコートが得意なプレイヤーが使用しているストリングの種類

 クレーコートが得意な選手と比べると、ナチュラルとポリエステルを組み合わせたハイブリッドストリングを使用している選手の割合が多いことがわかります。

 ポリエステルのみの場合と比べて、ナチュラルストリングを使用しているため飛びやすいセッティングとなっています。

 相手のボールの勢いを利用するプレーが得意な選手が多いため、パワーとコントロールを両立したハイブリッドストリングを使用する選手が多くいると考えられます。

組み合わせ

 ラケットとストリングの組み合わせについてみていきます。

グラスコートが得意なプレイヤーが使用しているラケットとストリングの組み合わせ

 使用しているストリングが不明の選手は抜いているため、合計は19人となっています。

 ボックス形状のラケットとハイブリッドストリング、ラウンド形状のラケットとポリエステルストリング、ハイブリッド形状のラケットとポリエステルストリングの組み合わせで使用している選手が最も多くいることがわかります。

 ではクレーコートが得意な選手の場合と比較してみましょう。

クレーコートが得意なプレイヤーが使用しているラケットとストリングの組み合わせ

 比較するとこちらも明らかな違いがありますね。クレーコートではハイブリッド形状のラケットとポリエステルストリングを組み合わせて使用している選手が最も多く、ボックス形状のラケットとハイブリッドストリングを組み合わせて使用している選手が少ない印象ですが、グラスコートではボックス形状とハイブリットストリングの組み合わせで使用している選手が多くなっています。

 コントロール性能が高いラケットと、パワーのあるストリングを組み合わせて使用している選手がグラスコートが得意な選手には多いようです。

まとめ

 グラスコートが得意な選手の体型とラケット・ストリングを見てきました。 グラスコートが得意になるための要素をまとめると

  • BMIは22以下の軽い体重のほうが相性がいい
  • ボックス形状のラケットとハイブリッドストリングを組み合わせて使用している選手がほかのコートと比べ、多い

といったことがあげられると思います。

 この要素が得られる理由を考えると、

・足が取られやすいグラスコートで動くために、BMIは軽いほうがよいため。

・ボレーやサーブを主体として戦う選手が多いため、ボールの感覚がわかりやすく、コントロール性能が高いボックス形状のラケットにパワーとコントロール性能を両立したハイブリッドストリングを組み合わせているため

などがあると思います。

 体重を軽くしてしまうと、動きやすくなる分、ボールの威力が落ちてしまうことが考えられるため、相手のボールのパワーを使うプレーをする必要があるかもしれません。

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